想い出は笑顔で溢れてるのに零れる涙はどうして


「・・・本当に、行っちゃったんだ」

雛森は一人、主のいない部屋を見て呟いた。
いつも傍にいてくれた。
さりげない優しさで見守っていてくれた。
それに気がつかずにただただ甘えていた自分は、とうとう呆れられてしまったのだろうか。

それが違うことをわかっていても、今はそう思いたかった。
彼がここにいない理由が、最も力になりたいと思っていた人物を倒すため、
ということをまだ認めたくなかったから。

「・・・・・莫迦だなぁ、あたし」

そう呟いて、ふと潤林安で暮らしていた頃を思い出した。
よく莫迦、と言われた。
でもその言葉の裏には心配とか照れ隠しとか、きちんと意味があって、
それを知っていたから、なんだか少しだけ嬉しくてつい微笑してしまって、
彼にとっては面白くなかっただろう。

死神になってからも、それは変わらなかった。
ずっと、ずっと、変わらないと、信じていた。
でも―――

「・・・ごめんね・・シロちゃん」

その優しさに、あの人の裏切りに、気がつけなくて。


頬を一粒の涙が零れ落ちた。



08.03.03 (07.03.28 拍手)

思うのは後悔と、そして

日番谷先遣隊が現世へ行っている間に目覚めたようなので、
きっと後悔とか色々な感情が複雑に込み上げてるんだろうな、と。

タイトルは ユグドラシル より