梅の誓い



あたしの好きな花は梅だ。
いつからなのかはわからない。気がついたら好きだった。

春になると花びらを集めては押し花を作っていたから、
幼なじみの少年はその行為に毎年うんざりしたような顔をしてたけど、それでも作るのは手伝ってくれた。
出来上がった押し花はしおりにして、家にあった数冊の本に挟み込んだ。

霊術院に入学してからは、さすがに押し花を作るのはやめたけど、
押し花のしおりはいつもお守り代わりに持ち歩いていた。
そうやって持ち歩いていると、故郷のみんなと梅が力をくれるような気がしたから。


死神になって数年、あたしは飛梅を手にした。
初めて得たあたしだけの力―梅が弾けるように火の玉を放つ、あたしだけの力。

この始解の力を初めて出せた時、どうして梅の花が好きなのかわかった気がした。

ただ綺麗だから好き、というのではなくて、きっと魂と繋がりがあったからだ。
だからこそ、無意識にこの花を求めたんだ――



「行こう、飛梅」

みんなを助けに。
そして、世界を裏切ったあの人を倒すために。

返事はなかったけれど、同意してくれたような気がした。



09.03.03

この刀に誓おう、この決意を。この思いを。

原作334話直前くらいをイメージして。
雛森と飛梅の絆っていうのは、全く描かれてないので想像てがら捏造。
やっぱり斬魄刀の名前とその死神本人の想いっていうのは、
深いところで繋がってるんじゃないかと思うんです。